筆者は昔、プログラマーでした。当初はアセンブラでワンチップマイコンの開発、その後DOS上でTurbo C、Windows上でC++ Builderで評価・検査装置などを開発していました。ソフトウェアの開発歴は20年弱です。
最近久しぶりにC++を使ってみたくなって、無償で使用可能な環境を探してみると、なんと進化したC++Builderが、無料で使用できるとのことです!!
・C/C++で何ができるの?
・C++Builderおすすめのポイント
・まとめ
C++Builderの歴史と私
C++Builderは、2010年以降は、エンバカデロ・テクノロジーズが開発・販売を行っていますが、以前は、ボーランドが開発・販売を行っていました。ソフトウェアに携わっている人ならば、Turbo C、Borland C++ の名前を聞いたことがあると思います。
Turbo Cは、1987年に登場しました。日本語版の対象機種は、NECのPC98のみでした。当時はNECのパソコンが圧倒的に強い時代でした。私の会社でも当初これを使用しました。
当時は最前線も技術ということで書籍が多く発売されました。
その後OSもDOSからWindowsへ移行していきます。開発環境もBorland C++からBorland C++へと移行してきました。
最初の C++ Builder は1997年2月26日にリリースされたそうです。明確には覚えていないのですが、比較的早い時期から、このC++Builderを使用していました。結局C++Builder5ぐらいまでは、担当者として使用していました。
その後もC++Builderはバージョンアップを続け、現在は、C++ Builder 10.4 Sydneyが、2020年5月27日に発売されています。
今回紹介する無償版は、2018年7月19日に従来の Professional Edition 相当を無償化したものです。呼び方は、C++Builder Community Editionです。当時はそれなりに無償で使えるということで話題になったようです。
現在の無償版の最新版は、C++ Builder 10.4 Sydney版のC++Builder Community Edition(無料版)はまだ更新されていないようです。先日2020年11月27日にインストールした版は、C++Builder 10.3 update3というものです。
C/C++で何ができるの?
プログラム言語C++は、Cから発展して1980年代に登場して以降、今までずっと人気のプログラム言語です。一般的には、C++で開発したプログラムは処理速度が速く、また、大規模なソフトウェアの開発にも使えます。
ソフトウェア開発のカテゴリーの分け方には色々な分類方法がありますが、ここでは用途別に主に使われているプログラム言語を確認しています。
用途別プログラム言語
OS周りのシステム機器制御 | C++、Jave、Python(パイソン) |
IoT(組込みシステム) | C |
金融システムや公共機関のシステム | C++ |
スマホアプリ | iOS:Swift、Objective-C、 Android:Java,Kotlin(コトリン) |
Web制作 | HTML、CSS、PHP、JavaScript、Ruby、Java |
AI、機械学習 | Python(パイソン) |
ゲーム開発 | C#、JavaScript |
それぞれのプログラム言語は上記の用途だけでなく、他の用途にも使われている場合が多いようです。C++も、ブラウザ(グーグルクローム)、ゲームのソフトで実績がありますし、スマホのiphoneやandroidの開発もできる環境を構築しています。
C++Builderは、winndows上の開発環境なので、そのスピードを利用して得意なのはパソコンから外部機器を制御したり外部機器から情報を集約したりすることです。もちろん簡単な計算やデータの処理、グラフの作成などができるので気軽にデータや実験の結果もまとめなどにも作成ができます。
色々なことができるポテンシャルはありそうです。
C++Builderおすすめのポイント
おすすめポイント① 無償で使用可能
何といっても、個人や利益が出ていない企業や組織は無料で使用が可能なことです。
C++ Builder Community Edition は無料の商用使用制限エディションです。開発者/企業/組織の年間収益上限は $5,000です。1年間期限付きライセンスで1年ごとに無料ですが更新する必要があります。
日本円では、50万円ちょっとなので収益が出始めたライセンスを購入する必要がありますが、それまでは無料で使用可能です。
また個人でC++を勉強してみようと考えている人は、最適です。制限事項はあるようですが、まず始めようという場合は十分な機能がついています。
C++ Builder Community Editionの詳細はこちら
おすすめポイント② 開発環境がすぐ整う!
ネットからダウンロードしインストロールするのに1時間程度かかりますが、インストールが完了するとWindows、macOS、Android、iOS アプリケーションの開発、デバッグ ツールが揃います。
マニュアル類もネット上にあるので、それを見ながらサンプルプログラムを打ち込むと、すぐに開発のイメージをつかむことができます。
おすすめポイント③ 常に開発の最前線にいて定評がある
C++Builderは前身のTurbo CやBolannd C++などから考えると30年以上の歴史があります。長年パソコン上でのC++開発を牽引してきたたVisual C++とともに、開発環境の代表的な存在です。
長年のユーザーから支持された実績とそれに答えてきた実績は信用できるものと考えてよいのではないでしょうか!
おすすめポイント④ ネットやYouTubeに情報がある
C++Builderの情報はネット上にかなりあります。特に開発、販売をおこなっているEmbarcadero(エンバカデロ)はマニュアルやチュートリアル、動画を多く作成してネットで提供してくれています。
多くの情報がネット上にあるので、逆にそれによる混乱に注意しなければなりません。
少し心配な点
実は、少し心配な点もあります。
・市販の参考書が少ない
アマゾンで検索すると、最近のC++Builderの解説本はほとんどありません。検索でヒットするのは1990年代後半から2000年代前半の書籍です。私が開発していた当時読んでいた本がまだ中古としてヒットします。
開発担当当時(1999年)に購入した本ですが基本的な考え方は変わっていません。
新しいもので「C++Builder 6コンポーネント活用ガイド&実践プログラミング」2004年度版です。これは一体どうなっているの?
あまり開発者がいないのでしょうか・・
・C++Billderのコンポーネントの知識が必要
開発は、統合環境下で、ボタン、パネル、ラベル、エディット・・などのコンポーネントをウインドウの上に配置しながらプログラムを組んでいきます。手順はサンプルプログラムを一つ打ち込んでみると大体分かります。
ところが心配なのは、このコンポーネントが沢山あり、そのプロパティも沢山あるのです。このコンポーネントやプロパティを多く知っているとプログラムで実現できる内容や質上がってきます。
これらの知識を得るのに少しハードルが要りそうです。
無料版のC++ Builder Community Edition を試してみるには、この記事を参照してください。
まとめ
最近は、Web開発が花形で多くの人が、そのプログラム言語を学んでいます。一方でC/C++言語は、長年日本の産業を支えてきました。現在でも大規模なソフトウェア、機器制御、IoT(組込みシステム)でその力を発揮しています。
C++ Builder Community Edition は、無料でC++の開発システムが手に入ります。これから勉強する人や新しいことにチャレンジしたい人、気軽に自分のカスタムソフトを作ってみたい人におすすすめです。