最近、山を買うことが一部マニアや芸能人の間で流行っています。里山に20年前に土地を買った私にとって、山を買うなんて、なんてこった!!という感じです。
キャンプ好きが高じてとか、家族や仲間と楽しみたいなどと理由を聞きますが、それって大丈夫ですか?!
山を買うには、何をやりたいか、継続して維持できるかなど覚悟が必要です。
深山と里山は全くことなります。里山と深山の境界は曖昧です。街に近い里山と深山に近い里山ではその生活のし易さは全く違います。
山って!!
日本の森林面積は約2500万ヘクタールで、日本の国土の67%と国土の3分の2が森林です。
恐らく山を購入を考えている人の多くは、かなり街に近い山を想像しているのではないでしょうか?確かにネットや不動産などで売られている山は、人里から近い山の入り口にあるもの多いです。
それでも、そのような山の多くは、木が生えており森や林になっています。更に多くの土地は整備されてなく、斜面になっている土地がほとんどです。
もちろん、車で通れる道路は少なく、電気や水も確保できないところが多いのです。自然は豊なのですが、クマやイノシシなどの危険動物が生息していたりします。
整備されていない山は、数年で木が育ち、草が生え緑に覆われていきます。
里山って!!
実は里山の明確な定義は存在していないようです。ウィキペディアをみてみると「里山とは、集落、人里に隣接した結果、人間の影響を受けた生態系が存在する山をいう。」と記載があります。
我が家の山小屋は甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根に続くこの山の麓にあります。写真の林の中を入って行ったところにあります。
里山は山の一部なのですが、街に隣接しているエリアです。人が住んでいるエリアに近いので、電気や水などインフラがある場合もあります。また比較的近い距離に店などもあります。
このため、山でも里山もしくは里山に近いエリアであれば、インフラやお店、交通の便などに利点を見出すことができます。
結論から書くと、山で仕事をしている人など、山をよく知っている人は別としてキャンプ好きが高じてなんて人については、里山でない山を買うことは絶対すすめません。
山ってどんなところ?
山を購入する場合、木が生えている斜面の広い土地を購入することになります。
山は管理をしないとすぐ荒れてしまいます。木が生えていれば、大きくなり、新しい木も生えてきます。草などもすぐに生えて伸びます。
これを荒れないように管理するにはそれなりの苦労が付きまといます。
熱心に通って、山を管理し始めると、今度は、一時的にでも居住する建物が欲しくなります。建物を建ててインフラを整備しようとすると、お金、時間、手間は更にかかってきます。
山を買う時の注意
場所の選択
場所の選択はとても重要です。中にはそこに住む人もいるかと思いますが、通いの人が多いかと思います。あまりにも遠いと行くだけで、費用と時間がかかる上に疲れてしまいます。
購入してすぐのやる気満々のときはOKですが、時間が経つとともに、忙しくなったり、興味が薄れてしまうことも考えられます。
通いの場合は、居住地から車で1時間30分から2時間ぐらい以内であれば、日帰りもでき望ましい距離です。私の場合は、空いていてギリギリ2時間で到着しますが、混んでいると4時間なんてこともあります。
建物を建てる場合
その山林が「市街化調整区域」に指定されている場合は、家などの建物を建てることができません。保安林に指定されていると区域内では建物を建てることはもちろん無許可で森林の伐採を行うこともできません。
購入するときにチェックが必要な項目です。
インフラをどうするか考えておく
購入時にインフラを整備する予定がなくても、将来の可能性を考えて確認しておく必要がある項目です。
主なインフラとして電気、水、ガス、TV・ラジオ、スマホ、インターネットなどがあります。
テントを持ってコンロで煮炊きをするだけならば、あまり問題ないのですが、購入するということはそれ以上のことを期待していいるはずです。
◆電気:電力会社に頼み引き込むか、ソーラパネルでオフグリッドが一般的です。ポータブル電源なども候補にありますが容量的には厳しそうです。
◆ガス:プロパンが一般的なのですが、料理はカセットコンロ、風呂やシャワーは灯油でなんて手もあります。
◆水:井戸か雨水で飲み水は持ち込みなどが多いですね。井戸を掘ると結構費用がかかります。またトイレや風呂は浄化槽をつけて汚水をきれいにする必要があります。水回りは費用がかさみます。 関連記事「田舎暮らし 水の確保方法」
◆TV・ラジオ:山の中では電波が入りずらい場合がありますので購入する場合に注意が必要です。
◆スマホの電波やインターネット:スマホの電波やWiFiの状況を確認しておく必要があります。
スマホ各社のサイトに電波のカバー状況の記載がありますが、実際に行って本当に電波が使用レベルにあるかを確認する必要がありますメールやサイトを見ることはできるけど動画はNGなんとことは当たり前にあります。
私が購入した里山の土地は、南アルプスの麓にあります。標高は700mほどありますが、別荘地の端にあり、車なら街まで15分ぐらいで行ける距離です。緩斜面にある370坪の土地です。横には小さな川が流れています。
住んでみると・・
その土地にログハウスをセミセルフビルドして、通いですが15年ぐらい住んでいます。
田舎暮らしをして、その土地になじめないなんてこともききますが、場所が別荘地の端にあるせいか、地元の人との交流はあまりありません。周囲には、同じように数件の家がありますが皆地元の人ではありません。
それでも、消防団への寄付5000千円/年や長年道を通るのに地主さんにお歳暮をあげていた時期もあります。
当初現在よりも小さい土地だったのですが、地元の人で隣の土地の地主さんが土地を譲ってくれました。最初に不動産屋から購入した1/3の価格でした。
困るのは隣接する土地で誰が持っているか分からないところの木が伸びてきたり、倒れたりすることです。勝手に切ることもできず困っています。
インフラは・・
最初は土地だけでしたので、テントを張って小屋を作りました。
◆電気:電気は近くまで電線がきていたので、電気会社に依頼して引き込みました。
◆ガス:ガスはカセットコンロ、シャワーは灯油給湯器を使っています。
◆水:水回りは一番困りました。最初は水をポリタンに組んできて使っていました。その次は雨水を貯めて使いました。現在は近所に人と共有で井戸を使用しています。
◆TV・ラジオ:TVもラジオも電波が悪い状態です。ラジオは何とか使えますが、山の北斜面ということもありTVは映らないといわれ見たことがありません。
◆スマホの電波やインターネット:スマホはメールやネットでサイトを見ることはできますが、動画は厳しい感じです。ABEMA TVがギリギリ見れる感じです。パソコンはスマホでテザリングを使用すると遅いですがネットを利用できます。
動画を見るときは、もう一つの拠点である相模原で動画を大量にダウンロードしてきて見ています。
山で一人キャンプや家族・仲間とキャンプをするためだけに山を購入するはとてももったいないです。
でもそれ以上のことをやろうと考えると急にハードルが高くなり、お金、時間、手間が膨大にかかります。このハードルを越えるつもりでなければ、安易に山(里山)の購入はおすすめできません。