地球温暖化・プラスチックごみ・絶滅危惧種や外来種などは、環境に興味がない人でも聞いたことがあり重大な問題です。
国内に生産拠点が多くあったときは、ISOは有効なツールとして活躍しましたが、現在は取引条件としてのISO保有が緩和されたこともあり、その役割も大分変化してきています。
今から環境ISOが必要なのはどんな組織でしょうか?
ISO規格とは
ISOは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 International Organization for Standardizationの略称です。
規格はモノやマネジメントシステムに対して制定されています。
マネジメントシステムで有名なのは、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)です。
ISO 14001などのISOマネジメントシステム規格には「要求事項」と呼ばれる基準が定められています。
組織は、この要求事項の沿った活動を行います。
認証機関は、組織がこの基準を満たしているかを審査し、満たしていれば、組織に対して認証証明書(登録証)を発行します。
詳しくはJQAサイトで
国内の環境ISOの役割は、生産形態の変化にともない大きく変化しています。特に最近は現場のマネジメントよりも社外アピールに力を発揮しています。
私ごとですが、
サラリーマン時代は、10年間は事業部門の環境担当者を、平行して5年間は全社の環境ISOの事務局を行っていました。
会社の規模はそこそこで、本体は約5、000人、連結会社を含めると約40、000人です。
国内は一つの認証単位で活動し、海外の会社はそれぞれで認証を受けて活動をしていました。
その全ての組織の環境ISOをコントロールするのがISO事務局です。人員はたった2名でした!!
2人で活動のサポート、情報の収集と集約、内部監査主催、審査の管理、文書類の改訂などをおこないます。
元々は、2015年の環境ISOの規定の改定の対応のため招集されてそのまま事務局となりました。
ほんの数十年前までは生産工場の多くは国内にあり、ものつくりを行っていました。
化学物質を使用したり、多くのエネルギーを使ったり、多くの排出物を生み出したりしていました。
このため、汚染やリスク対応、省エネ、排出物の処理などが重要な業務になっていました。
これらの業務を確実に効率的に行うために環境マネジメントシステムが使われていました。
また認証登録を行うことで、自分達の会社はちゃんと管理しているということをアピールしたのです。
品質や環境のマネジメントシステムが認証されていることは、
会社同士の取引を始めるポイントの一つになり、多くの会社が認証登録を行っています。
◆環境ISOの元々の役割
・現場の管理を効率良く確実に行う
・会社同士の取引を始める条件
という2つの役割でした。
環境ISOの役割が変わってきた
環境ISOの役割が変わってきた主な理由は3つあります。
・国内での生産が激減した。
・より社会の関心が環境に向いてきた
・環境ISOの2015年改訂
ここ数十年で多くの生産拠点が海外に移転しました。
このため以前はメインISOの役割であった、現場を具体的にマネジメントする部分は
国内では、その存在価値が低くなっています。
一部大企業や中小企業は生産を続けているところもありますが、
認証登録の維持の工数や費用などの問題から登録を返上するところもでています。
採用する側も、他に大きなメリットがあればISO取得を必須と考えなくなってきています。
近年は、地球温暖化、プラスチックごみ、生物多様性(絶滅危惧種、外来種)などの問題
が世界規模で問題になっており、より多くの人が関心をもつ事項になっています。
このことにより個々の具体的な活動よりも、会社としてのポリシーやスタンスが問われるようになってきています。
環境活動が社外から評価を高めるツールの一つとして使用されるようになっています。
2015年改訂は、トップマネジメントの関与や本来業務での環境活動がフォーカスされています。
もちろん改訂内容自体がその役割の変化に影響があるのですが、
このタイミングで改訂されたことで、多くの企業はより実質的に有効なものを築こうということで
改訂を行いました。
工場や現場でのマネジメントから ⇒ 会社のあり方をマネジメントする方向へ舵を切った!
と言えます。
もし今から環境ISOを認証登録するなら、おすすめ(取得するべき)組織は
・トップが環境に対し意識が高い
・国内で工場や現場がある
・こだわりのある製品をつくっている
これらの条件が揃っていれば、組織の規模によらずおすすめです。
ISOを取得すると期待できるのは・・
組織の環境活動も現場のマネジメントも一本柱ができます。
また対外的にも信頼が高くなるのも間違いありません。
でも多くの組織が認証登録に二の足を踏む理由は
・維持工数
・毎年の登録費用
・最初に登録に必要な初期費用や工数
ポイントは、マネジメントシステムと実際の管理システムが2重にならないかです。
多くの組織は、現場での管理は一本化できるのですが、
経営のマネジメントと環境のマネジメント(ISO)が別ものになることが多いのも事実です。
ここが一本化できるメドがあれば、余計な工数を大幅に減らすことができます。
普通に業務を行えば、それがそのまま環境活動になるような仕組みをつくるのポイントです。
組織の規模により毎年審査があり、それなりの登録費用がかかります。
この費用が問題ないか?
この費用は審査会社に相談すると見積もりをつくって貰えます。
初期費用は、やり方のよりかなり変わってきます。
組織の状況を理解した少人数メンバーと専門家でチームをつくり活動の案をつくるのがベストです。
コンサルの費用が必要になりまが、ここをケチると後で後悔することになります。
専門家としては経験豊富なコンサルをを依頼するのがおすすめです。
新しく環境活動をすすめるのに、ゼロの状態から行うのとかなりハードルが高くなります。
環境ISOをベースに仕組みをつくるのは、選択肢としては間違いのないところです。
維持費用を抑えるためには、
活動が定着した後に、登録を返上して自己適合宣言を行うと費用発生は抑えることができます。
この方法は規格上も有効とされています。
但し専門家の審査をなくすことは、組織内の審査の工数を増やすことにもつながるのでバランスをしっかりとることが必要になります。
自己宣言に関する記事はこちら