60年代、漫画は子供のものでした。
場合によっては悪いもの、くだらないものという評価が背景にありました。
高校生の頃、歴史の先生に「火の鳥」を読んで歴史が好きになったと話したら、所詮漫画だ!と言われました。
そんな漫画の壁を破ろうとした作品の一つが、この「やけっぱちのマリア」です。
少年誌向けでありながら、タブーを打ち破ろうと試行錯誤した作品の一つです。
1968年に週刊少年ジャンプに連載が始まったのが、永井豪の「ハレンチ学園」です。
ハレンチ学園は何かと賛否があった漫画です。
当時小学生であった我々に多大な影響を与えました。
小学生の我々は、「ハレンチ学園」にはエロ、グロ、ナンセンスを感じつつも
その刺激を楽しんでいました。
やけっぱちのマリアは、約2年遅れで週刊少年チャンピオンに連載されました。
手塚治虫の漫画だけあって、ハレンチ学園に比べ少し教育的で品があります。
登場するキャラクターの性格は魅力的でストリーや漫画自体の面白さが際立ちます。
1970年代は良い意味でも悪い意味でも、漫画がどんどん多様性を広げていきます。
「やけっぱちのマリア」とは
やけっぱちのマリアは、1970年(昭和45年)4月から同年11月まで週刊少年チャンピオン(秋田書店)に連載された手塚治虫の少年漫画です。
暴れん坊の少年・ヤケッパチと、ヤケッパチの体から飛び出したエクトプラズムの少女マリアが巻き起こす騒動を描いた、奇想天外な漫画です。(手塚治虫公式サイトより)
今回読んでみてもストリーや登場人物の魅力は変わっていません。
少しだけ違和感を感じるのは、性教育てきな描写です。
これが手塚漫画と言われれば、その通りですが・・
当時のエロ、グロ、ナンセンス漫画に対する解を模索しているようすが伺えます。
手塚漫画好きで、歴史的な背景を理解して読むと、より面白く読むことができます。
焼野 矢八(やけの やはち)
主人公の中学生。通称やけっぱち。一匹狼で、学園を支配するタテヨコの会と対立している。
マリア
矢八が産み出したエクトプラズムがダッチワイフに憑依して生まれたのがマリア。
ヒゲオヤジ
手塚治虫の漫画にいつも登場するキャラ、今回は矢八の父親として登場
秋田先生
矢八の学校の先生で唯一の理解者。
雪杉みどり
タテヨコの会のボス・ナンバー1で中学3年生。美女で才女、性格は非常に悪く、自らの地位を守るためには卑劣な行為もいとわない。
若松
タテヨコの会のボス・ナンバー2。中学3年生。雪杉みどりに思いを寄せている。
羽澄 マリ(はずみ マリ)
秋田先生の縁故で学校に転校してきた。やけっぱちの恋人になる。
やけっぱちのマリアは単行本2冊とコンパクトにまとめまれています。
このため、後半は急展開です。
マリアの体がボロボロに
脱獄した死刑囚 は、マリアを守るためにクマと戦うが・・
マリアの体はこの頃からボロボロになっていく。
マリアの最後
体がボロボロになったマリアは、やけっぱちにマリという恋人ができ別れを決断。
少し性教育的なところがありますが、医師免許を持っていた手塚治虫ならではなところです。
表現の成否はともかく漫画の領域を広げた作品の一つです。
その後。漫画は子供だけでなく大人にとっても大切なものに成長しています。
少しだけ当時の背景意識して、漫画として「やけっぱちのマリア」を楽しみましょう!