長くベンチプレスや筋トレを続けていると、仕事が忙しくトレーニング頻度が落ちたり、怪我や出張なので長期に渡ってトレーニングを休まなければいけないことがあります。
こんな時、ベンチプレスのパフォーマンスを維持する方法はないのでしょうか? ベンチプレスのパフォーマンスは何故ダウンするのかを明確にして、それを防ぐ方法も考えます。
最初に考えておきたいのは、挙上重量を求めるベンチプレスは、筋トレではないということです。もちろん筋肥大を目的としてベンチプレスを筋トレとして行うこともありますが、この2つはしっかりと分けて考えた方がよいのです。
筋トレを競技として行っている人や100㎏以上の高重量でベンチプレスを行っている人たちは、筋トレによる筋肥大を求めているのではなく、高重量を挙げること自体を目的としています。
これは、陸上選手がタイム短縮を目指したり、野球選手が勝利を目指しているのと同じです。
競技でベンチプレスを行っている人を見ると、その目的を達成するための方法は、一目瞭然です。競技では体重別の階級になっているので、筋肉量を増やして重量を挙げる手法は制限されます。限られた体重(筋量)の中で、パフォーマンスを上げる必要があります。
このため重要視されるのが、テクニックや神経系の発達です。
トレーニング頻度が落ちたり、長い期間トレーニングを休むと何故パフォーマンスが落ちるのでしょうか? これを考える前に、ベンチプレスのパフォーマンスを向上させるポイントを考えてみます。
ベンチプレスのパフォーマンスを上げる3つのポイント
ベンチプレスのMAX挙上値をあげる3つのポイント
①筋肥大
②テクニック
③神経系の発達
①筋肥大:筋肉は筋線維という細い筋細胞が何千本も束になりできています。適切なトレーニングと食事により、筋線維が肥大し体積が増加することが筋肥大です。筋肉が肥大することでより多くの力を出力できるようになります。
②テクニック:テクニックの代表的なものは、ブリッジです。高いブリッジを組めればそれだけで挙上距離が短くなり、より重たい重量を挙がられるようになります。その他にも足や体全体を使って挙げるテクニックやバーの握り方、下す位置や速度など色々あります。
③神経系の発達:神経系が発達すると、使われていないより多くの筋繊維群が発動され筋力があがります。トレーニングをやっていない人では70%程度の筋繊維しか発動されていないといわれていますが、トレーニングをやることでこの割合を向上させることができます。
参考記事「筋トレ“初心者”ほど記録がどんどん伸びる2つの理由」
関連記事「ベンチプレス 神経系トレーニングって何?」
初心者が運動を始めて急激にパフォーマンスがあがることがあるのは、この神経系の発達と体の動かし方(テクニック)が改善されるからです。
トレーニングを長期で休んだり頻度が落ちると、それぞれの要素はどのように影響をうけるのでしょうか?
トレーニングができない影響
長期に渡ってトレーニングができなかったり、頻度が下がったりすると、この3つの要素が影響を受けます。
筋肉量の維持:筋肉量は一般的には、3~4週間ぐらい後から少しずつ落ちてくると言われています。でもこの期間は、トレーニングをやらない期間にどんな過ごし方をするかで変わってきます。全く体を動かさないか、補助トレのような形で必要な筋肉を動かしているかで大きな差がでます。
テクニック:3つの要素の内一番影響を受けにくのは、テクニックです。自転車に乗れる、スキーが滑れるなど、一度身に着けた体の動きは忘れにくいものです。でも、体の動きが悪くなると影響が出てきます。
ベンチプレスで一番影響を受けそうなのは、柔軟性です。特にブリッジを高く組める人は柔軟性が落ちると高いブリッジが組めなくなるので影響がでます。柔軟性を維持するストレッチやフォームのイメージトレーニングをやれば影響は小さくできそうです。
神経系の衰え:トレーニングの最初に発達するのが神経系です。同様に衰えが早いのも神経系です。ベンチプレスの神経系はトレーニングの内容によっても変わってきます。神経系のトレーニングと言われる3~5repのトレーニングを8repに変えるだけで神経系は衰えます(逆に筋肥大には有効です)。
トレーニングの頻度が落ちたり、できなくなると神経系に影響が出てきます。
パフォーマンスを落とさないためには、トレーニングができない期間や頻度がおちる割合を考えて、これら3つの要素に働きかけを行う必要があります!
ではベンチプレスのパフォーマンスを落とさないためにどうすればよいのでしょうか?
ベンチプレスのパフォーマンスは
・1repのMAX重量
・セット重量とrep数
などがあります。前者は主に瞬発力、後者は筋持久力も影響します。
紹介したパフォーマンスを上げるための3つのポイントを押えることが大切です。でもそれ以外にも重要なことがあります。
体のトータルパフォーマンス
3つのポイント以外の重要なポイントは、体のトータルパフォーマンスです。体のトータルパフォーマンス保つことは、言い換えれば体の元気さを保つということです。
体のトータルパフォーマンスはトレーニングのやりすぎでも疲労などで堕ちますが、トレーニングが長くできないとパフォーマンスが落ちます。パフォーマンを維持するためにには、心肺機能や体全体の活性化をあるレベルで保つ必要があります。またメンタルも大事になります。
この体のトータルパフォーマンスをを高いレベルで維持することは大切なことで、バランスの悪いトレーニングでも起こります。週2回のベンチプレスのトレーニングでは、他にランニングやウォーキング、テニスなどをやった方が、ベンチプレスのパフォーマンスが上がることもあります。
長期でトレーニングできないときは、ウォーキング、ランニング、自重トレーニングなどがおすすめです。
3つのポイントの押え方
筋肉量の対策:トレーニングができない期間が1ヶ月以内ならば、それほど気にすることはありません。簡単に筋肉量を維持するにはプッシュアップがおすすめです。腕の幅などを変えて、胸や三頭筋に効かすやり方を組合わせておこなえばOKです。
1ヶ月を超えることが初めから分かっている場合は、自重ではなく負荷をかけたくなります。おすすめは
短時間だけど自宅でトレーニングができる場合
・簡易ベンチプレス台によるベンチプレス
・ベンチ台とダンベルによるダンベルベンチプレス
出張などで道具がない場合
・プッシュアップトレーニングの頻度をあげる
関連記事「自宅トレーニングでベンチプレス100㎏目指せる 低価格のベンチプレス台ランキング」
テクニックの対応:テクニックの劣化はそれほど大きくないので、あまり気にしなくてもよいのではないでしょうか。柔軟性の維持のためのストレッチは必要です。
また意外と重要なのはイメージトレーニングです。駅のホームでゴルフの素振りをやるように、立った状態でもOKなのでベンチプレスの動作や呼吸を行ないます。
神経系の対応:残念ながら神経系の強化は、その競技や動作をすることでしか維持や向上は難しいとされています。ベンチプレスでの神経系の向上はベンチプレスで行うことが正しいやり方です。
このため方法としては、自宅に簡易ベンチプレス台を準備して、時間が空いたときに行うのがおすすめです。出張などでホテル住まいの場合は近所で使えるジムを探すことになります。
でも・・神経系は失われるのも早いですが、トレーニングを再開すれば強化するのも短期でできるので割り切って考えるのも大切です。
事例1 トレーニングが2ヶ月間できない!
関連記事「ベンチプレス 緊急事態明け 神経系トレーニング 2ヶ月で100㎏から120㎏に!!」
緊急事態でジムで2ヶ月間トレーニングができない時期がありました。この時のパフォーマンスの悪化とリカバリーの状況です。
トレーニングができなくなる前:MAX挙上重量は120㎏ ⇒ ジム再開直後:MAXは100㎏です。
ここから週2回のトレーニングで2ヶ月間で120㎏まで復活しました。トレーニングの内容は神経系強化を意識した5rep、5セットです。これってどうですかね??
今回のテーマで大事なのはこれからです。ジムに行けない期間やっていたのは
・YouTube動画を見ながらプッシュアップ 3回/週
手のひらきや置き方を変えた3種のプッシュアップ3セットずつで合計で150回、時間は約15分です。
・YouTube動画をみながら肩トレ 2回/週
肩トレ3種 ダンベルを使ったもの2種 75回、自重 1種 30回 合計で105回、時間20分です。
・ウォーキングやYouTube動画で全身運動
使用していたYouTube動画
①【たった15分】自宅で出来る「上半身の筋肉を育てる」筋トレ3種目【ベンチプレス解説】
②【15分】自宅で出来る「肩を強くデカくする」筋トレ3種目【ベンチプレス解説】
事例2 海外出張でトレーニング頻度ダウン
関連記事「筋トレ 長期間休むと どうなる? ベンチプレスで考えてみた!」
中国出張が続き年間ではトータルでは年間では182日、中国(半年)に居ました。7ヶ月間は、通常トレーニングは、2回/月程度のトレーニング頻度でした。
この状況になる前のMAX挙上重量は115㎏ ⇒ 6ヶ月後 MAX挙上重量 110㎏です ダウン率は5%程度です!
この6ヶ月間は、ホテルでのプッシュアップ、中国のホテルのジムにあった簡易的なベンチプレス台を使っての軽負荷(メインの70~80%)でのトレーニングを2回/月程度やっていました。
トレーニングが通常にできない期間はかなり長かったのですが軽い負荷でもトレーニングを行ったことであまりパフォーマンスを落とさずにすんだようです。
ベンチプレスのパフォーマンスを維持するためには、紹介した3つのポイント(筋肉量、テクニック、神経系の発達)や体のトータルパフォーマンスの維持などを意識して、できる範囲のトレーニングを行うことが大切です。
時短でもマメに行うことである程度にパフォーマンスが維持できます。
願わくは、自宅に簡易的なベンチプレス台やダンベルベンチプレスができる道具が揃えられれば、普段のトレーニング効率も上がる上にジムに行けないときにパフォーマンスをおとすことも少なくなります。