春の赤沢岳北西尾根から爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳 知らないと怖くないことを知った山行

冬山を始めた年に厳冬期に八ヶ岳の全山縦走を行いました。その余勢をかって、翌春には北アルプスの赤沢岳北西尾根から爺ヶ岳、鹿島槍を目指しました。

この春合宿は会の強い先輩方が参加していました。

暖かい春ということもあり、気持ちもウキウキしていました・・

当時も感じたのですが、今考えても知らないと怖くないことを知った山行でした。

コース概要

爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳なら普通の縦走なのですが、赤沢岳北西尾根が曲者のコースです。

1日目:黒部ダム7:30 ⇒ 赤沢岳北西尾根 標高2200m付近 15:30
2日目:7:30発 ⇒ 赤沢岳 9:30 ⇒ 鳴沢岳 ⇒ 種池小屋 13:30
3日目:8:30発 ⇒ 爺ヶ岳 9:30 ⇒ 冷池 11:30
4日目:4:30発 ⇒ 鹿島槍 6:30 ⇒  冷池 9:30 ⇒ 赤岩尾根 ⇒ 大谷原 12:30

行く前までは、積雪があるといっても暖かいし、余裕のあるコースで楽しめる思っていました。確かにそうなのですが・・

テント泊で雪山装備もあり荷物は重いのが、たまに傷だったのです。ところどころに罠が仕掛けてありました。

知らないと怖くないこと

その時も、アレ!!??と思ったのですが、今冷静に考えてみると紙一重でした・・

でも全てクリアーできたのは運が良かったのかもしれません。

黒部川の渡渉

赤沢岳の北西尾根の取りつきに行くにはダムから川床におりて、黒部川を渡渉しなければなりません。

歩き始めてすぐなのですが、水かさがあり、川を渡る場所がないのです。春とは言えまだまだ寒いこの季節に

水浸しになり渡渉するのは・・

30分ぐらい探して、少しだけ足が濡れるだけで川が渡れる場所を見つけ、事なきを得ました!!

危ない危ない!!

50度の壁をアイゼンでのぼる

黒部川を渡り北西尾根を登り始めました。この季節にここを登る人は少なく1日目は誰とも遭遇しませんでした。

雪のルンゼをとおり、狭い尾根を通り、アップダウンがある樹林帯を越えた2200mぐらいの地点でテントを張りました。

樹林帯の登りもキツイ

ここまでもうっとしい登りなのですが・・

2日目の早々にそれはやってきました。スタートから雪が着いた急登から始まりました。

アイゼンの効きがよく不安はあまりなかったのですが・・

急登が続き休むこともできず・・

ひたすら登りつづけて、最後は50度の壁です。やっと登って尾根にでました。

やっと尾根にでた!

聞いてないよ!! 聞いていればこなかったのに! 

振り返ってみるとトンデモない崖を登って来ていました。

でも驚いたのは、登り切った直後に、我々が登ってきたルートを降りるパティーとすれ違いました。

こんなところを降りるの!!

種池小屋はお休みです!

そのなこんなことがありながら、幕営地の種池小屋へ着きました。

小屋は営業していなかったのですが、登山者のためにドアが開いていて、中に入ることができました。

寒いので小屋の中にテントを張り、暖かい状態で眠りに入ったときに

小屋の戸を叩く人がいました。

男女2人の兄妹の登山者です・・小屋が開いていると思って登って来たようなのですが、

暗くなるまで歩いて疲れ切っていた上、装備も小屋泊まりの予定だったため食料もシュラフもない状態だったため、

シュラフと食料を提供して我々のテントの中で寝てもらうことしました。

我々の他に人が居なかったので、もし誰も居なかったらと思うと、こちらの方が怖くなりました。

雪庇は危ないよ!

尾根に出てからは、天気も良くルートも踏まれていて、時間的に余裕があり快適な山行です。

冷池ではやることもなく雪洞を掘り、ビールを飲んで楽しみました。

テンバは、春山の雰囲気いっぱいです。

雪洞も掘りました。

余裕がある中、また先輩たちが、横で見てると怖いことをやっていました。

尾根の途中で雪庇が崩れているところに行って、崩れているところを覗いているのです。

あそこはまた崩れてもおかしくないはずなのに・・

恐らくもっと危険なところを何度も行っている先輩たちなので感覚がズレてきているのです。

と言いながら自分も覗きにいきました。

鹿島槍は適度に雪がついています。

幻想的!

赤岩尾根 標高差1000mを直滑降

鹿島槍を何事もなく制覇して、赤岩尾根を下山し始めたときです。先輩たちが雪がついた急斜面を見つけたのです。

これは・・と思うまもなく、その急斜面を一人の先輩がグリセードで降り始めたのです。

そして2人の先輩もそれに続きました。

残された同期の3人は顔を見合わせました。降り始めがあまりにも急で足がすくんでいました。

もちろんグリセードなんてできません。

先輩たちが去り際に言った、ダメなら尻セードでの言葉とおり、尻で滑り始めました。

滑ってみると快適でアッと言う間に標高差1000mを滑り降り、1時間で大冷沢の出会いに着いてしまいました。

少し前までいた爺ヶ岳をバックに写真を撮り、山行が終了しました。

爺ヶ岳をバックに

この時、再認識したのですが、私が所属する山の会は、下りるときは、いつの間にかバラバラになって下りていくのです。

この風習はその後も続くのでした。

まとめ

危険なことでもそれを危険と感じない(知らない)と大胆な行動ができます。

でも後になって記憶に残っているのは、これらの危険と感じた大胆な行動です。

でも先輩たちにとっては当たり前のことならば、先輩たちはそれすら覚えていないのかもしれません。

私にとっては貴重な春合宿になりました。

 

 

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