もう40年近く前の話です。9連休の夏休みを楽しむため、会社の山の会で剣岳集中山行を行いました。幾つものパティーが好きなコースをで剣岳で集合するという計画です。
私は2人で上高地から槍ヶ岳から剣岳の縦走を計画しました。無事に完歩したのですが、報告書も書かず現在に至ってしまいました。
計画書や写真、記憶で山行を整理しました。
この年の山の会の夏合宿は、会社が9連休ということもあり計画時点から盛り上がっていました。
9パティー24名が剣岳に集合という計画をつくりました。そのうち8名が会員では無いメンバーです。
やっぱり梅雨明け直後の夏は天候も安定している上、剣岳はお金を使えば、かなり文明を使って標高を稼ぐことができるので、普段山にあまり登っていない会員以外のメンバーも参加することになりました。
最終日の真砂での記念撮影です
ルートの概要
ざっくりしたルートは、上高地⇒槍ヶ岳⇒双六岳⇒三俣蓮華岳⇒黒部五郎⇒薬師岳⇒五色ヶ原⇒雄山⇒剣(八峰)⇒真砂⇒黒部ダムです。
八峰登攀を除いて計算しても、距離82km、標高差9000m弱、一日の平均コースタイム8時間30分です。私にとっては、なかなかのハードな計画です。
計画では剣岳で集合してから八峰を登攀する計画です。このため登攀用具として、ヘルメット、アイゼン、ゼルバン、エイト環、カラビナなどを準備しました。
私のパーティは2人でテント泊で食料を全て担いでの縦走なので当然重くなります。
アパートでザックの重量を測ると35kg近かったので、そこから登攀用具などを減らし、結局30kg少しオーバーだったのを覚えています。
このザックを背負って10時間以上も歩くなんて・・と思いながらも、長期連休前の忙しさに、その不安をあまり考える暇もなく当日を迎えました。
疲れがなく、力が充実している前半に沢山歩いて、距離や高さを稼ごうというのが目論見でした。後半少しだけ余裕のある計画にしました。
でも実際には、ただでさえ連休前で仕事が忙しく体力が削がれていたのに、初日の松本までの夜行でほとんど寝れずに、初日から遅れをとりました。
私にとってはハードな計画ですが、テントと食料を背負っているので、最悪どこでもテントを張って寝ることができるのが安心材料です。
結局、八峰登攀に間に合わず・・でも
計画の検証にはヤマケイオンラインの登山地図&計画を利用させて頂きました。コースタイムや標高差などが簡単に分かる便利なツールです。
初日に標高を稼ぎ、勢いをつける計画です。前日11時26分八王子発で松本着は、3:36分でした。タクシーで上高地にはタクシーで入りましたが、この時点で眠気いっぱいです。
結局ババ平までしか入れず。1日目は、3時間遅れです。
赤線が計画したルートです
出発前に河童橋で記念撮影
計画 | 実行 | |||||
出発地 | 経由 | 行動時間(分) | 距離(km) | 行動時間(分) | 距離(km) | |
上高地 | ⇒ | 横尾 | 185 | 10.1 | 185 | 10.1 |
⇒ | 一ノ俣 | 60 | 2.5 | 60 | 2.5 | |
⇒ | 槍沢ロッジ | 40 | 1.6 | 40 | 1.6 | |
⇒ | ババ平 | 30 | 1.2 | 30 | 1.2 | |
⇒ | 水俣乗越分岐 | 30 | 0.8 | |||
⇒ | 天狗原分岐 | 50 | 1.1 | |||
⇒ | グリーンバンド | 60 | 0.8 | |||
⇒ | 殺生ヒュッテ | 40 | 0.7 | |||
495分 (8時間15分) |
18.4 | 315分 (5時間15分) |
15.4 | |||
標高差△(m) | 2053 | 1133 | ||||
標高差▽(m) | 695 | 640 |
横尾を過ぎて槍沢を登り始めてから眠気と疲労で足が前の出なくなりました。なるべく粘ってババ平まで来たのですが、ここでダウンしました。
2日目は前日の遅れを取り返すべく、午前4時にはテンバを出て、午後5時頃まで歩いて五郎平のキャンプ場まで歩きました。前日の遅れを何とか取り戻しました。
行動時間13時間でコースタイム13時間を歩いています。
13時間の行動時間でヘロヘロになり黒部五郎小屋前で記念写真
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
ババ平 | ⇒ | 水俣乗越分岐 | 30 | 0.8 | ||
⇒ | 天狗原分岐 | 50 | 1.1 | |||
⇒ | グリーンバンド | 60 | 0.8 | |||
⇒ | 殺生ヒュッテ | 40 | 0.7 | |||
殺生ヒュッテ | ⇒ | 槍ヶ岳山荘 | 55 | 1.7 | 55 | 1.7 |
⇒ | 槍ヶ岳 | 30 | 0.2 | 30 | 0.2 | |
⇒ | 槍ヶ岳山荘 | 30 | 0.2 | 30 | 0.2 | |
⇒ | 千丈沢乗越 | 60 | 1 | 60 | 1 | |
⇒ | 双六小屋 | 200 | 5.1 | 200 | 5.1 | |
⇒ | 双六岳 | 60 | 1.5 | 60 | 1.5 | |
⇒ | 三俣蓮華 | 105 | 2.8 | 105 | 2.8 | |
⇒ | 五郎平キャンプ場 | 60 | 1.6 | 60 | 1.6 | |
600(10時間) | 14.1 | 780(13時間) | 17.5 | |||
標高差△(m) | 1424 | |||||
標高差▽(m) | 1943 |
3日目にして初めて計画通りのコースを歩きました。コースタイムで7時間10分と今回の山行では楽な工程です。
余裕が出て、休憩時間に髭剃りも
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
五郎平キャンプ場 | ⇒ | 黒部五郎岳 | 130 | 2.7 | 130 | 2.7 |
⇒ | 中俣乗越 | 80 | 2.6 | 80 | 2.6 | |
⇒ | 北ノ俣岳 | 80 | 2.5 | 80 | 2.5 | |
⇒ | 太郎平小屋 | 90 | 3.8 | 90 | 3.8 | |
⇒ | 薬師峠 | 50 | 0.9 | 50 | 0.9 | |
430(7時間10分) | 12.5 | 430(7時間10分) | 12.5 | |||
標高差△(m) | 1030 | |||||
標高差▽(m) | 1075 |
4日目のコースにある薬師岳は、初めて北アルプスに来た時に登った山です。懐かしさもあり楽しい山行になりました。体も慣れ、コースも楽だったので、余裕をもって計画通り歩けました。
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
薬師峠 | ⇒ | 薬師平 | 50 | 0.7 | 50 | 0.7 |
⇒ | 薬師岳山荘 | 50 | 1 | 50 | 1 | |
⇒ | 薬師岳 | 60 | 1.2 | 60 | 1.2 | |
⇒ | 北薬師岳 | 60 | 1.1 | 60 | 1.1 | |
⇒ | 間山 | 80 | 2 | 80 | 2 | |
⇒ | スゴ乗越小屋 | 70 | 1.5 | 70 | 1.5 | |
370(6時間10) | 7.5 | 370(6時間10) | 7.5 | |||
標高差△(m) | 826 | |||||
標高差▽(m) | 853 |
この日はコース上に大きなピークは無く、距離を稼ぐ日になりました。疲労も溜まってきていますが行動時間も短いので余裕がでています。
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
スゴ乗越小屋 | ⇒ | 越中沢岳 | 210 | 2.7 | 210 | 2.7 |
五色ヶ原山荘 | 170 | 3.4 | 170 | 3.4 | ||
テント場 | 15 | 0.6 | 15 | 0.6 | ||
395(6時間35分) | 6.7 | 395(6時間35分) | 6.7 | |||
標高差△(m) | 952 | |||||
標高差▽(m) | 803 |
この日は、最後の長い距離を歩く日でした。ところが、剣沢小屋付近まできたときに、温泉に入ろう!ということになり、急遽予定を変更して雷鳥沢ヒュッテの日帰り温泉にいきました。
本来はこの日の内に、真砂キャンプ場まで行き、他のメンバーと合流の予定だったのですが、我慢できずに温泉を選びました。
そしてその後は、歩くことを放棄して剣沢のテンバでテントを張りゆっくりとしました。明日八峰を登攀する予定だったのですが、疲労もありギブアップしました。
明日は縦走路から剣に登り、山頂で他のメンバーと合流しようと計画を変更しました。
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
五色ヶ原テント場 | ⇒ | 一ノ越 | 251 | 5.2 | 251 | 5.2 |
⇒ | 大汝山 | 95 | 1.5 | 95 | 1.5 | |
⇒ | 真砂岳 | 45 | 1.3 | 45 | 1.3 | |
⇒ | 剣沢小屋 | 130 | 3.3 | 130 | 3.3 | |
⇒ | 真砂キャンプ場 | 100 | 2.8 | |||
621(10時間21分) | 14.1 | 521(8時間41分) | 11.3 | |||
標高差△(m) | 1538 | |||||
標高差▽(m) | 2170 |
八峰登攀の計画でしたが、変更して剣岳をピストンで登り、山頂で他メンバーと合流の予定でした。
山頂でいくら待っても誰も登って来ず?? 下りて、真砂に急ぎました。
真砂に着くと、何故か八峰登攀は中止になっており、皆我々と同様縦走路を登ったとのことでした。
剣岳の山頂で待っても、八峰隊は来ませんでした
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
剣沢小屋テンバ | ⇒ | 剣岳 | 230 | 2.7 | ||
⇒ | 剣沢小屋テンバ | 200 | 2.7 | |||
⇒ | 真砂キャンプ場 | 100 | 2.8 | |||
530 | 8.2 | |||||
標高差△(m) | 963 | |||||
標高差▽(m) | 1678 |
今となってはほとんど記憶がありませんが、下山する最終日も登り下りが、それぞれ1000mを越えています。達成感と他のメンバーと合流できたのもあり軽快に歩けた記憶だけが残っています。
無事7泊8日の山行を完了して帰途に着きました。
計画 | 実行 | |||||
行動時間(分) | 距離(㎢) | 行動時間(分) | 距離(㎢) | |||
真砂キャンプ場 | ⇒ | ハシゴ谷乗越 | 120 | 1.9 | 120 | 1.9 |
⇒ | 内蔵助平 | 60 | 1.9 | 60 | 1.9 | |
⇒ | 黒部ダム | 170 | 4.7 | 170 | 4.7 | |
350 | 8.5 | 350 | 8.5 | |||
標高差△(m) | 1003 | |||||
標高差▽(m) | 1255 |
夏とはいえ、自分の中では槍ヶ岳から剣岳までの82km、標高差9000mを歩いたのは達成感は半端なく、自信につながります。若いってすごい!!
でも、この山行には沢山の反省点があります。
・報告書がない:帰ってから仕事が忙しく(言い訳)報告書を作らず終わってしまった。
・記憶が無い:歩くことに夢中で山を楽しむことはできず。後で振り返っても記憶があまりない。
・写真もない:写真が少なく記憶が蘇ってきません。最初の2日は全く余裕がなく、槍ヶ岳山頂の記憶さえほとんどない。
・ザックが重い:余裕がない理由の一つにザックが重すぎたこと。登攀用具、テント、ストーブ、食料などが重たい原因。