幻の山行 冬の八ヶ岳全山縦走 新人にこんな山行をさせるの?!

権現岳から赤岳

これから冬の八ヶ岳の全山縦走を狙っている人に・・

YAMAPのサイトを見ていたら「1月末ー2月初旬に八ヶ岳全山縦走をされた方はいらっしゃいますか」という記事をみた!でも後で気が付いたら2018年の記事でしたが・・

30数年も昔・・社会人になったころ、初めての冬山登山で先輩たちに八ヶ岳の全山縦走に連れていかれました。報告書や写真が手元にあるので、思い出しながら記事にまとめています。

月日も経ち、思い出は美化(逆もあり)されているので、半分はフィクションかもしれませんが・・

登山経験と冬山準備

学生時代の経験

社会人になり会社の山の会に入会しました。この山の会は、当時は熱心に山に登っている人が数名いて冬山や岩登りもやっていました。

社会人初めの冬合宿が八ヶ岳の全山縦走に決まったので、冬山に行ったことがない私は焦りました。予定では5泊5日と長く、八ヶ岳はとても寒いのです。

大学時代もクラブで北アルプス、南アルプスの経験もあったのですが、本格的な登山ということではなく、自然を楽しむという感じで登っていて、ましてやテント泊の冬山とは・・

下見と装備の充実

そこで行ったのが2度の八ヶ岳の個人的な下見と冬のボーナスを使った装備の充実です。

◆下見:8月に硫黄岳⇒横岳⇒赤岳⇒権現岳⇒編笠岳、9月に赤岳⇒阿弥陀岳と2回行きました。2回とも単独行で一人でも歩ける自信をつけたのです。

◆装備の充実:5万円のシュラフ、厚いお風呂マット(下に敷く)、シンサレートの温かいマウンテンパーカーや冬山用のネルの下着、目出し帽。もちろん、アイゼンやピッケル、ゼルプスト、カラビナ、スパッツ等々、装備で遅れをとれないようにボーナスをつぎ込みました。

計画したルート

ルートの計画は我々新人に断りなく、いつの間にか八ヶ岳の全山縦走に決まっていまいた。会社の山の会とはいえ、勧誘するときは優しく入ってみると厳しいということでしょうか・・?

ルートの概略図

コースの距離はちゃんと測っていませんが35kmぐらいです!

ルートの詳細

1日目
 八王子 ⇒ 小淵沢 ⇒ 観音平 登山スタート ⇒ 編笠山 ⇒ 青年小屋(泊)
 コースタイム 3時間30分

2日目
 権現岳 ⇒ 切戸 ⇒ 赤岳 ⇒ 赤岳石室付近(泊)
 コースタイム 4時間40分

3日目
 横岳 ⇒ 硫黄岳 ⇒ 天狗岳 ⇒ 黒百合平(泊)
 コースタイム 5時間40分

4日目
 高見石 ⇒ 麦草峠 ⇒ 雨池峠 ⇒ 北横岳 ⇒ 双子池
 コースタイム 9時間45分

5日目
 大河原峠 ⇒ 蓼科山 ⇒ 大石峠
 コースタイム 5時間10分

コースタイムは、昭文社のコースタイムです。

前半は南八ヶ岳の岩稜地帯、後半は北八ヶ岳ののんびりだけど、長い距離を歩くルートです。全長で約35kmのコースです。

初日は夜行で八王子から小淵沢駅まで行き、そこからタクシーで観音平まではいります。2日目は南八ヶ岳のメインの権現岳、キレット、赤岳です。3日目は多少緊張感はありますが、硫黄岳を越えたあとはた安心感のあるコースです。

4日目は、北八ヶ岳のひたすら長いルートです。コースタイムで9時間45分です。疲れも出ている頃で大丈夫でしょうか? 5日目は最終日です。蓼科山についたら最高の気分です!

実際のルートのようすは・・

◆初日

小淵沢駅に6:30分着 夜行列車で例によってあまり眠れず、タクシーで観音平へ、ここから編笠山に向かったが、やはり寝不足でフラフラと登って行く感じです。

天気は良いが、何といっても荷物が重く(30kg弱ぐらい)、自慢の装備と食料が重く肩にのります。編笠山頂からは、遠くの方に最終目的地の蓼科山がみえたが・・遠いです。この日は、早めに青年小屋入り明日に備えました。

◆2日目

本日は、南八ヶ岳のメインもコース! 7:30に出発するが、ガスっていて風も強く不安がつのります。例年より雪が少ないそうですが、それなりに雪があり足をとられます。

途中でアイゼンが壊れてしまい、最後は片アイゼンで赤岳山頂にきました、こんなことでこの先大丈夫でしょうか? 

今年2回雪のない時期に赤岳付近を下見にきたが、雪がついてしまうと道の感じは全く変わってしまっています。何度か来たことがあるという自信だけがあるのですが、ルートは先輩方にお任せでついていくだけと情けない状態です。

岩と雪感満載で緊張感も半端なかったコースでした。頼りになる先輩がいなければこられませんでした。

◆3日目

硫黄岳までたどり着くと岩から解放され、少し心が緩んだ感じ、その後あまり記憶に残っていません。テンバである黒百合平へ。余裕が少しある日です。テンバでコッフェルでビールを飲んでいると、みるみるビールの表面が凍っていったのは驚かされました。

ルートからは富士山も見えています。

◆4日目

コースは難しくないのだが、ひたすら長いコース、ここにきてこの設定はないだろ! 新人4人の内、2人はバテバテのようだ、私は紙一重で見かけ元気に歩いたようです。行動時間は9時間もあり、朝7:30に出発して双子池についたのは16:30分でした。

北八ヶ岳に入ると余裕も出てきます。

◆5日目(最終日)

最終日は天気も良く快適、朝から解放感が半端ない。快調に歩き、蓼科山の山頂で皆で万歳の写真撮影を行い下山しました!!

最後のピーク蓼科山です。もうひと頑張り!

蓼科山山頂でバンザイ!

食料担当から昼食に最中が出され、このタイミングで素晴らしいと口にしたが、最中が乾わいた口貼りつき飲み込むことができない情けない状態になりました。冬山に最中はNGです!

まとめ

冬の八ヶ岳全山縦走は、初めての冬山ということもあり、ものすごく記憶に残る山行になりました。その後、5期ほど積雪期に山に行っているが、なかなか経験できない山行であったことは間違いありません。

食料は基本自分たちで担いでいったので、質素な食事で体力の消耗も半端ありません。下山した翌日メンバーに一人と一緒にファミレスに行き、朝10時頃から夜まで、ひたすら食事をして栄養を補給したことを覚えています。大食いでない私がこれほど食事をしたのは最初で最後のことです。

また、1月初旬であるにもかかわらず、下山後は長そでシャツ1枚でも全く寒くないという経験もこの時だけです。八ヶ岳はとても寒く、我々が行った時もマイナス20℃になっていたようです。

 

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