近年慈恵会医科大学の近藤一博教授の研究により、疲労に関して多くの新しい事実が解明されました。疲労に関する重大で新しい情報ですが、まだまだ認知度が低いようです。
「疲労の原因物質の発見」、「疲労感の削減と疲労回復の方法は異なる」、「疲労を客観的に測る技術の発明」などです。
この新しい事実に基づいて、運動による疲労に有効なサプリメントは何か考えてみました!
近年、東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤一博教授の研究により、疲労のメカニズムやうつ病の謎について多くのことが解明されました。ここ数年で疲労に対する考え方が一変していて、ノーベル賞級の研究とも言われています。
個人的に情けないことは、このすごい研究について最近まで知らなかったことです。運動好きでより効率的なトレーニングをやりたい人にとっては、とても大事な情報です。
以前の疲労のメカニズムは
つい最近まで疲労の原因物質は、体内に取り込まれた酸素の一部が活性化した活性酸素によるものと考えられていました。活性酸素の産生と抗酸化防御機能のバランスが崩れることで細胞が傷つけられることで疲労を発生するというものでした。現在でもネット上などではこの情報が存在しますが、この情報は間違いであることが分かったのです。
解明された疲労のメカニズム
このブログで解明された疲労のメカニズム解説することはおこがましいので、判明したことを端的に紹介することにとどめます。
疲労のメカニズムの解明で分かったこと
①疲労原因物質(リン酸化eIF2α)が発見された
②疲労感を脳に伝える物質と疲労の原因物質は異なる
③疲労を客観的に測る技術(HHV-6やHHV-7の量を調べる)が発明された
①疲労の原因物質リン酸化eIF2αの発見
発見された疲労原因物質リン酸化eIF2αは、体の中でタンパク質の合成を担うタンパク質合成因子(eIF2α)がリン酸と結びつくことで発生します。タンパク質合成因子(eIF2α)がリン酸と結びつくと、タンパク質の生成量が減り、臓器の働きが低下したり機能障害が起きたりします。
②疲労感を脳に伝える物質と疲労の原因物質は異なる
疲労の原因物質は、リン酸化eIF2αで脳に疲労を伝えるのは炎症性サイトカインです。
リン酸化eIF2αは、主に肝臓で炎症性サイトカインを産生させる働きがります。炎症性サイトカインが脳に伝わって「疲労感」を生じさせます。
栄養ドリンク剤やサプリメントは含有される抗酸化物質で肝臓で産生される炎症性サイトカインを減少させて疲労感を取ってくれますが、疲労原因物質には影響はほとんどなく、疲労は残ります。
③疲労を客観的に測る技術
ほとんど全ての成人に潜んでいるヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)というウイルスは、少しの疲労でも、唾液の中に出てくることが発見され、この量を測定することで疲労の状態を測定できるようになりました。
もう少し詳細の内容は、東京慈恵会医科大学ウイルス学講座のサイトで確認できます。
またこちらの近藤一博教授へのインタビューも参考になります。『栄養ドリンクのCMから「疲労回復」の言葉が消えた深いワケ』
この解明された疲労のメカニズムは今までの常識を覆すものです。そこで気になるのが老化との関係です。今までは、老化も疲労も似たメカニズムで活性酸素の影響が大きいと言われていました。
以前は抗酸化機能が低下する40歳代以降は疲れやすく、老化がすすむと言われていました。
年齢と疲労の関係の解明はまだまだこれから?!
解明された疲労のメカニズムでは40歳代以降の疲労の度合はどうなるのでしょうか?
ドリンク剤で抗酸化物質を取り込むと疲労感は軽減されるならば、体は疲れていても感じないことになります。疲労が蓄積すると、ある時動けなくなるなんてことはあるのでしょう。これは心当たりが少しあります。
疲労は、eIF2α酸化酵素で疲労原因物質であるリン酸化eIF2αが産生され疲労が発生し、eIF2α脱酸化酵素で疲労が回復するとのことですが、脱酸化酵素の働きと年齢の関係は、ネット上の情報では言及されていません。
年齢と疲労の関係の解明はまだまだこれからなのでしょうか??
別の研究も
別のアメリカの研究では、筋トレの回復を、筋肉のダメージと炎症の変化を血液検査で確認した結果22歳のグループと47歳のグループでは差がなかったとの結果だったという記事もあったりします。
近藤一博教授によると疲労回復物質も一部見つかっているようです。「ガンマーオリザノール」という米ぬかの成分と、納豆とチーズに含まれている「ポリアミン」です。「ビタミンB1」も、不足すると疲労することが分かっています。でも何故かあまり話題にはなっていないようです。
運動による疲労を取る有効なサプリメントはないのでしょうか?
前述した疲労のメカニズムから、特に運動による疲労に有効そうなのは次の3つではないでしょうか
①失われたタンパク質を補う十分な量のプロティン
②運動時のBCAA(運動時の筋肉でエネルギー源となる必須アミノ酸)
③疲労感をとる抗酸化作用のあるサプリメント(ドリンク剤など)
①十分な量のプロティン
運動時に血液中や筋肉のタンパク質が分解され活動に使用されます。また新しい理論では、疲労原因物質リン酸化eIF2αを合成するときにも臓器内でタンパク質が失われるので、これらの失われたタンパク質を補うために十分な量のプロテインの摂取することが益々大切になります。
②運動時の補給で疲労低減 BCAA
必須アミノ酸は9種類のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類をBCAAと呼んでいます。BCAAを摂取することでは運動しても疲れにくくなることが期待できます。
筋肉中のタンパク質を構成しているアミノ酸の約35%がBCAAです。運動時のBCAA摂取すると、筋タンパク質合成促進・分解抑制、筋損傷軽減、筋肉中のグリコーゲン節約、乳酸産生抑制などが期待でき、その結果として疲労が軽減の効果が期待できます。
③疲労感をとる抗酸化作用のあるサプリメント(ドリンク剤など)
運動後の疲労感を取り除くには効果的なのは抗酸化作用があるドリンク剤などです。
疲労を伝えるのは炎症性サイトカインは、ドリング剤に含まれる抗酸化物質で削減され疲労感を除去してくれます。勝負どころでドリンク剤を飲むのはOKですが、注意することは一時的に疲労感は軽減されますが、疲労自体は取れていないので、その後休養をしっかりとりましょう。
運動をしてパフォーマンスを向上させたい人(特に年配者)にとっては、疲労を如何に取り除くが勝負どころです。疲労があるとモチベーションも下がりますし、ケガのリスクも増えます。
新しく解明された疲労のメカニズムを理解して、しっかり疲労を低減させましょう!