ベンチプレスのトレーニングを長年やっていますが、今まで神経系のトレーニングについてあまり重要に考えていませんでした。初期は筋量も増えパフォーマンスも向上しましたが、最近はなかなか向上しません。
パワーリフティングやベンチプレスは、体重別の競技です。体を大きくしないでパフォーマンスのアップをどうやっているのでしょうか?
ベンチプレスのパフォーマンス向上のためには、筋肉量に加えてテクニックと神経系強化が重要です。今回は、神経系のトレーニングについて考えてみます。
神経系トレーニングの限界についての記事もどうぞ 「ベンチプレス 神経系トレーニングの限界はどこ?」
筋力トレーニングにおける筋肉量と神経系の発達とテクニックの関係
筋力トレーニングを行うと、筋力がアップしてパフォーマンスが上がります。これは、筋肉量が増え神経系が発達することによるものと言われています。
筋肉量が増えるということは、筋線維が太くなることで、これに比例して発揮される筋力が増えるということです。
ところが、普段筋トレを行なわない人が筋トレを始めると、最初の数か月は筋肉量はあまり変わらないのですが、パフォーマンスは格段に向上することがあります。
これは、主にその運動や動作に慣れてパフォーマンスが上がっているのです。これがまさに神経系が発達したのです。
実は、このことについては、以前から知っていました。ベンチプレスを初めた時はこの原理が当てはまりますが、ある程度継続してベンチプレスをやっていると神経系の発達の寄与は少ないと考えていました。
ところが、一流のパワーリフターやベンチプレッサーのYouTubeやブログなどをみていると、神経系のトレーニングをとても強く意識しているのがわかります。
体重別のスポーツということもあるのでしょうが、効果も高いようです。
もう一つ勘違いしていたのは、テクニックと神経系の強化は何となく同じ領域のものかな・・と思っていたことです。
トレーニングの初期段階での急激なパフォーマンスの伸びは体の使い方(テクニック)の改善にも大きく依存するからです。
神経系の発達とテクニックは、明確に違うものです。同じテクニックを用いても、神経系のトレーニングでパフォーマンスは向上します。
もちろん正しいテクニックの元で神経系を発達させる方が効率はよいと思いますが・・
また押さえて置くべきポイントは、ベンチプレスのパフォーマンスは何に依存するかです。
◆ベンチプレスのパフォーマンス向上の要素
・筋肉が太くなって強くなること
・動作(テクニック)が上手になること
・神経系の抑制が低減されること
です。
ベンチプレスを全力で行っているときでも、脳が抑制をかけ動員されずに休んでいたり、タイミングが合っていない筋肉があります。
◆神経系のトレーニングを行うと
より簡単に
・休んでいる筋肉を動員できる
・足並みを揃えて同時に筋肉を動かせる
筋トレによって、筋量も増えますが、同時に神経が鍛えられます。このことを神経適応と呼んでいます。この神経適応により、体重を増やすことなく筋力アップを行うことができます。
著作者:brgfx/出典:Freepik
神経適応のメカニズムは、運動単位の動員数増加、運動単位の同期化、神経発火頻度の増加などをキーワードで説明されます。
運動単位は、運動神経と数百の筋線維で成り立っています。より使われていない運動単位の動員が増加したり、タイミングを合わせて動くことにより体重を増やさずに筋力アップすることができます。
こちらのサイトが分かり易いので参考にしてください。
私が行っている神経系のトレーニングを紹介します。
ここ数年ベンチプレスのトレーニングは、8レップをベースとした、サイクルトレーニングを行ってきました。
サイクルトレーニングとは、週ごとに挙上重量を上げていき、筋肉に刺激を与えていくものです。
参考にしたのは、ノーリミッツの方式です。
具体的には、
1週目 85㎏ 8レップ 3セット
2週目 90㎏ 8レップ 3セット
3週目 95㎏ 8レップ 3セット
4週目 100㎏ 8レップ 3セット
5週目 MAXに挑戦
6週目は、1週休むか、もしくは軽い負荷でトレーニングをします。そして負荷を検討し、再度1週目からトレーニングを行ないます。
このトレーニングのポイントは常に負荷を変え刺激を与えることです。
8レップ の後にメモリセットとして、より高重量を低レップでトレーニングを行います。恐らくこのメモリセットが神経系のトレーニングになっているようです。
ベンチプレスのトレーニングでは、8~12レップは筋肥大、3~5レップは神経系のトレーニングと考えられています。
5レップ、5セットのトレーニング
サイクルトレーニングでは、MAX挑戦で120~125㎏を挙げることができました。でもこの重量が壁になってパフォーマンスが伸びていないのが現状です。
そこで、何か新しい方法でブレークスルーできないか考えていました。そこで目を付けたのが、今まであまりやってこなかった神経系のトレーニングとフォームの改善です。
神経系トレーニングとして目をつけたのが、5レップ、5セット(5×5)のトレーニングです。このトレーニングでは、より高重量が扱え神経系が強化されます。また同時に筋肥大の効果もあると言われています。
今まで神経系トレーニングを意識して取り組まなかった理由は、神経系のトレーニングは初期段階では非常に有効だけど、何年もベンチプレスをやったあとでは、効果は低いと考えていたからです。
ところが実際には筋力強化は筋肥大と神経系の改善が両輪になっています。
参考にしたのは、BURST LIMITの動画です。「重量・回数これで悩まない!目的に合ったベンチプレスのセットの組み方・レップ数」です。
世界クラッシックベンチの2016年、2017年のチャンピオンの齊藤 敬太(KE-TA)さんが詳しく解説してくれています。
KE-TAさんが紹介している5×5のトレーニングの特徴は、先にその日のMAXを挙げてから、5×5のセットを行うところです。
毎回、自己記録に近い重を挙げることでよりMAX重量を伸ばす可能性を高めてくれます!
神経系のトレーニングは今回紹介した5×5以外にも色々とあります。少し前に話題になったグエンプログラムも神経系トレーニングです。
神経系の強化だけならば1~3レップをギリギリ挙げられる重量を設定してセット数を多く行うと効果がでます。
ところが、欠点としては、怪我のリスクが高まるとか、ずっとこのトレーニングを続けていくと筋肥大のトレーニングができないせいか、筋肉に力強さが無くなってくるなどの弊害も出てきます。
トレーニングは刺激を変えながら行う方が効率が上がるようです。